腹腔鏡下手術の発展の歴史

Intuitive Surgical社は、医療分野のロボットに関する技術及び商品開発を推し進めています。我々の製品は低侵襲外科手術の恩恵を多くの患者さんに提供すること目的にして設計されています。Intuitive Surgical社の製品は外科医が小さな傷で従来の開腹手術を行うサポートをします。

1950年代に入ると、最初のテレプレゼンスロボット(テレロボティクス)支援アーム、いわゆるロボットアームの初期モデルが登場します。この技術は、海底や宇宙空間など、過酷な環境で利用され、1980年代には、マイクロエレクトロニクスやコンピュータの急速な進歩により、テレプレゼンスやロボット支援機能も大きな飛躍を遂げました。

この時代には医療技術の世界でも技術に大きな飛躍がありました。初の低侵襲性腹腔鏡下手術の開発、特にデジタル画像処理やディスプレイ技術の進歩にともない、内視鏡のような機器を使った医療技術の分野が大きく進むことになったのです。外科分野に一大革命がもたらされ、低侵襲手術として腹腔鏡下手術が導入されました。そして1987年、フランス人医師Philippe Mouretによって初の腹腔鏡下胆嚢摘出術が行われました。

この画期的な手術が行われた1980年代後半以降、腹腔鏡下手術・手技はさらに発展期を迎え、1990年に入ってからはさらに普及していきます。腹腔鏡下手術に対応した手術器具は、組織の摘出や縫合といった単純な手術には最適で、ステープラーやその他の縫合器などより精巧な機器が次々と開発されていきました。しかし、1990年代は画期的な技術開発はなく、腹腔鏡下手術は複雑な手術においては牽引役を果たすことができませんでした。

ロボット支援下手術、そしてda Vinciの登場

従来の腹腔鏡下手術の限界が明らかになり、ロボット支援によるテレプレゼンスが登場します。多くの研究機関が、低侵襲手術とロボットを組み合わせることで、腹腔鏡下手術の限界を克服するために開発を進めました。

最初にテレロボット支援技術と低侵襲手術を組み合わせ、da Vinci サージカルシステムの開発に多大な影響を与えたと考えられるパイオニアは、以下のとおりです。

  • IBMワトソン研究センター(米国ニューヨーク州ヨークタウン・ハイツ)のDr. Russell Taylorとそのチームは、ジョンズ・ホプキンス大学のDr. Mark Talaminiと協力して、ロボット支援下腹腔鏡手術システム(LARS)―術者によるジョイスティックコントロール下の腹腔鏡操作を可能にする「第3の手」を開発しました。
  • 旧スタンフォード研究所(現SRIインターナショナル、米国カリフォルニア州メンロパーク)のDr. Phil Greenは、スタンフォード大学外科医兼軍医のDr. John Bowersoxと協力し、1987年に「テレプレゼンス手術システム」を開発しました。この機器から、後に、da Vinci の初期の試作品である主要なコンポーネントが着想されました。
  • ジェット推進研究所(JPL、カリフォルニア州パサディナ)のDr. Hari Dasは、眼科医Steve Charlesと連携し、NASAから資金援助を受けたロボット支援下顕微鏡手術(RAMS)ワークステーションにより、テレロボティクスと低侵襲手術を組み合わせることに尽力しました。
  • インペリアル・カレッジ(英国ロンドン)のBrian Davies教授とそのチームは、前立腺および神経外科の領域へ応用するためロボット装置の開発を始めました。I.C.PROBOTと呼ばれた前立腺手術用の機器は、1991年の初頭に初めてその試験が行われました。
  • カリフォルニア大学(サンタ・バーバラ)の大学院生Yulan Wangは、1992年、NASAのためにロボットシステムを開発し、このシステムが腹腔鏡下手術において内視鏡を操作するのに大変有効であることを示しました。これは、内視鏡に一番適した配置を行うための自動内視鏡(AESOP)システムの構築やComputer Motion社を創設する契機となりました。
  • MIT(マサチューセッツ工科大学)では、Kenneth Salisbury教授とその学生が、革新的なヒトと装置間のインターフェースや触覚学(触覚を利用する科学)の開発を始めました。

da Vinci 手術の発展

da Vinci サージカルシステムの設計、製造および販売はIntuitive Surgicalが行っています。da Vinci サージカルシステムは1999年に上市されました。医師は数ヵ所の小さな切開部から、繊細で複雑な低侵襲手術を実施することができます。当社は、泌尿器科、婦人科、大腸外科、心臓血管外科、胸部外科、小児外科、および一般消化器外科の分野で、da Vinci サージカルシステムのテクノロジーで、全世界で患者さんの治療に貢献しています。

da Vinci サージカルシステムの原型は、1980年代の後半に、米国陸軍と旧スタンフォード研究所において開発されました。当初は、戦場での手術を遠隔で行うシステムの開発を目的として資金提供を受けていましたが、民間での応用を目指したのです。技術開発によって、低侵襲手術の手法が加速度的により広範な手技へと応用されていきました。

1995年、民間での応用をさらに推し進めるため、当社は設立され、1996年には最初のロボット支援下手術用サージョンコンソールを開発しました(図1)。1999年1月に、当社はda Vinci サージカルシステムを上市、2000年には、一般的な腹腔鏡下手術を適応とする初のロボット支援下手術システムとして、FDA(アメリカ食品医薬品局)により認可されました。その後は、胸腔鏡(胸部)手術、補助切開部からの心臓手術のほか、泌尿器科、婦人科、小児外科、経口アプローチによる耳鼻咽喉科の手術についてもFDAから認可を得ています。

1996年に開発された最初のロボット支援下手術用サージョンコンソール

これまでの実績と日本市場の重要性

2014年6月30日時点で、約3,100台のda Vinci サージカルシステムが全世界の病院に設置されています。内訳は、米国が2,153台、欧州が499台、アジアが322台です。Intuitive Surgicalは米国、欧州および韓国で直接販売しています。

2014年7月からは、日本でも直接販売を開始しました。現在、日本では183台のda Vinci サージカルシステムが導入されています。

当社は、日本をはじめ、アジア太平洋地域の各国において、da Vinci サージカルシステムの技術革新を通じて価値あるソリューションを提供し、患者さんに、最高の安全性を追求した低侵襲性の手術を選択肢のひとつとして提供できることを目指しています。当社は、ロボット支援低侵襲手術のさらなる発展のために、各種の承認を取得すべく多くの投資を行っており、製品の薬事認可や保険償還のために規制当局と直接やりとりを行っています。

da Vinci サージカルシステムの特徴

Intuitive Surgicalの製品は、医師に従来の開腹手術の機能を提供しながらも、数箇所の小さな切開部を介して手術ができるように設計されています。

da Vinciサージカルシステムの主な構成装置:
サージョンコンソール、ペイシェントカート、ビジョンカート

販売名:da Vinci Siサージカルシステム
承認番号:22400BZX00387000

なぜ「da Vinci」―名前の由来

da Vinci 手術をご存じの多くの方々から、その名称である「da Vinci」の由来について質問されることがあります。この名前は、15世紀の発明家であり、画家であり、哲学者であったレオナルド・ダ・ヴィンチにちなんで付けられました。ダ・ヴィンチは人体の解剖学に関する研究を進歩させたことで広く知られています。彼は剖検に立ち会い、数多くのきわめて精緻な解剖図を作成し、ヒトおよび比較解剖学の包括的研究の基礎を築きました。